ラビット・エンジニアリング

趣味の電子工作を、備忘録もかねて・・・・

M5CAMERAでラジコン戦車作ってみた〜【Part1: ハードウエア組み立て】

趣味でM5CAMERA使ってラジコン戦車つくりました^^)

この記事では、ハードウエア組み立てについて紹介します

 

 

完成品の姿

完成品はこんな姿です。

身の回りにあるものでお金をかけずにつくっているので、素朴な仕上がりです^^;

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ラジコン戦車の完成状態

 

 動かしている様子はこんな感じ

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戦車を選んだ理由

四輪の自動車だと、進行方向を変えるためにハンドルを切るアクションが必要ですが、戦車ならば下の絵のように左右のキャタピラのトルク差で方向を変えられるため、プログラムが簡単になると思って戦車を選択しました。黒矢印がキャタピラごとの動き、赤矢印が全体の動きを示しています。
 

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図1:キャタピラの進行方向と戦車全体の進行方向。

キャタピラの回転方向の組み合わせで戦車の進む方向をコントロール可能

 
 
過去の経験から、キャタピラものは車軸回りのつくりが甘いと走行中に車輪からキャタピラが外れることが多く、また経年劣化ですぐに硬くなるなど、ハード製作には苦労が多いです。できるだけ手軽にハードを作ってプログラミングに移れるように、後ほど紹介する信頼と実績のタミヤのキットを選びました。 

モータドライバICの役割と仕組み

上の図1で説明した戦車の動きを実現するためには、モータの回転方向を切り替える必要があります。そのためにモータードライバICを使いますが、ここで簡単に原理を見ていきたいと思います。

 

モータは、図2のように、電池をつなげば決まった方向に一定の速度で回転します。 

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図2:モータに電流を流すと、決まった方向に回転する(ここでは、これを正回転とする)

 逆回転させるためには、電池のプラスとマイナスを逆に接続を変える必要がありますが、モータドライバICを使うと、モータに流す電流の方向を変えたり、電流の大きさを変えることができます。

 

モータドライブICは、図3のように電池とモータを4つのスイッチ(Sw1~Sw4)でつなぐ内部構造になっています。このスイッチは、手動のスイッチではなく、プログラムで命令すると電気的にON/OFF可能なスイッチです。今はSwがすべてOFFでモータは停止しています。

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図3:モータドライバICのイメージ。電池とモータを4つのスイッチでつなぐ

 プログラムによる命令で、下の図4のように、Sw1とSw4をONにすると、電気回路が図2と同じ接続状態になるので、モーターは正回転します。

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図4:モータを正回転するときの接続

これとは逆に、Sw2とSw3をONにすれば、次に示す図5のようにモータを逆回転させることができます。

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モーターを逆回転する時の接続

 

モータドライバICは、さらにSw1とSw2およびSw3とSw4のONとOFFの時間比率であるデューティー比を0対100から100対0の間で変化させることで、モータの両端に印加される電圧の平均値を変化させて、モータに流れる電流量をコントロールすることも可能です。これをPWM制御と言います。これなら、モータのトルクも自由に変えられますね。

 

ギヤ比の選び方

ギヤBoxは、タミヤ 楽しい工作シリーズ No.227の中にふくまれていますが、タミヤの楽しい工作シリーズ、No.168 ダブルギヤボックスとして単体でも売っています。

 

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タミヤの楽しい工作シリーズ、No.168 ダブルギヤボックス

黄色と青の歯車の組み合わせを変えることで、ギヤBox全体のギア比を、以下のA~Dの4種類に設定できます。この値は説明書に書かれている、3V駆動時の出力軸の実測データです。

 

タイプ     ギヤ比      回転トルク     回転数

    A          12.7:1          94 gf•cm   1039 rpm

    B         38.2:1         278 gf•cm    435 rpm

    C        114.7:1         809 gf•cm     115 rpm

    D.      344.2:1       2276 gf•cm     38 rpm

 

ギヤ比とトルク、ギヤ比とスピードの関係をグラフにしてみました。

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ギヤ比を上げると大きなトルクが出せる一方、スピードは低下する

 

左のグラフのように、ギヤ比とを上げると大きなトルクが出せますが、右のグラフに示されるように、スピードは下がります。自転車のスタート用の1段ギアをイメージしてください。大きなトルクが出せるので、軽い力で上り坂も登れますが、その分多くの回数ペダルを回す必要があるのでスピードはそれほど上がりません。

 

今回は、モータドライバICの最大電流が0.2Aとかなり小さい値に制限されていることと、狭い部屋の中で微妙なコントロールをして遊ぶことを想定して、Dタイプの低速で大トルクのギヤ比を選択しました。

 

 

使った部品の紹介

使った部品と購入の参考となるリンクを貼っておきます。

 

M5CAMERA

ラジコンカーの頭脳と目となる部品です。

ここから購入できます、安い!

www.switch-science.com

 

詳細は、今後のプログラム紹介で触れたいと思います。

 

本体

こちらの、タミヤ 楽しい工作シリーズ No.227 カムプログラムロボット 工作セット 70227を使いました。筐体+キャタピラ+モータ+ギアのセットです。

 
 

モータードライバIC

モータドライバIC は、スイッチサイエンスさんのGROVE - I2C ミニモータードライバを使いました。www.switch-science.com  

ケーブルとHUB

ケーブルはM5STACK用のGROVEケーブルを使いました。電源とI2Cを一体にした4本線をまとめたコネクタ付きのケーブルです。

 

M5Stack用GROVE互換ケーブル 10 cm(5個入り) - スイッチサイエンス

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GROVEケーブル

できるだけ短いケーブルがほしかったので10cmを購入しました。

 

M5Stack用拡張ハブユニット - スイッチサイエンス

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GROVE HUB

電源を電池ボックスから取っているため、M5CAMERA、モータドライバIC、電池ボックスの3部品を接続する必要があったため、HUBを使いました。

 

電池ボックス

電池ボックスは、家にあったものを流用しました。

単四のエネループ4本で、1.2V×4=4.8Vで動かしています。

乾電池も安く無いので、充電可能なエネループをつかいました。

 

マスキングテープ

M5カメラを戦車に固定するために、貼り直しやすいマスキングテープを使いました。 

部品の接続

部品は下図のように接続ています。

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部品の接続図

 

部品を使っている場所と、部品の形状を下記の動画にまとめたので組み立ての参考にしてください

youtu.be

 

 

以上、簡単ですがラジコン戦車の組み立てについての紹介でした!